そういえば

なにごともはじめはぎこちなく、ごつごつとした岩のようなものですが、すこしづついびつな角をけずってゆくといずれきれいなまるいものになってゆきます。人間関係もそうですし、太極拳の動きもそのようなものだと思うのです。はじめたころは、トゲトゲしくギクシャクしフラフラしますが、だんだんと不自然な力がむけてきて、自然な動きに近づいてゆきます。また、心もおなじでトゲトゲした感情も温和でまるい心になってゆきます。この心身の変化に気づくことが大切でしばらく続けていると、そういえば、最近腰いたくないなとか喧嘩しなくなったなとかいろいろと気づくことになります。とはいえ、それが太極拳だけのおかげであるというわけではないでしょうが、そのおかげであると思っておいたほうが稽古にはげみがついてくるでしょう。また、わたしの場合は太極拳ではありますが、それぞれご自身が好きで取り組まれておられることを続けてゆくことも同じようなことだと思うのです。鍼灸の治療においても、まったく同じことです。初診の患者さんの身心は、こりや痛みやしびれやむくみや怒りや不安といろいろといびつな角がたくさんあります。それらを時間をかけてひとつづつ角を取りのぞき、滞りのない丸いしなやかな身心へと変えてゆきます。年月はかかります、かけたようがよいのです。いっときの痛みを取り除くのも治療のひとつですが、めざすわたしの鍼灸の治療とはもっと本質的な身心への響きです。