水の流れ

人間の体にはどれくらいの水があるのでしょうか?年齢、性別などで違いがありますが、体重に対する割合で新生児で約75%、こどもで約70%、成人で約60%、老人で約%50.胎児においては約90%が水で満たされています。水は、かならず高いところから低いところへ流れます。これは、自然の摂理です。ところが、体内では高い頭にも流れますが、これらは心臓のポンプ作用や筋肉による運動によりしごかれることによっておこる現象です。

この水の流れが健康を保つうえで大変重要です。水の流れがあるところは温かく、流れのすくないところは冷えます。水がさらさらしてますと流れやすく肌の色はほんのり赤く温かいですが、濁ってくると色は黒くなり冷たくなってきます。また、流を止める詰りがありますと、その先の流れは少なくなり、その前ではたまりができます。

 

鍼灸においては、この水の流れを特に大切にいまします。身体の中での水の流れによる変化は、皮膚に現れています。そこで鍼灸では、全身の皮膚の状態を観察し触れて診察します。これを触診といいます。肌の色、冷たいところ、熱いところ、柔らかいところ、硬いところ、乾燥しているところ、湿っているところなどを触診します。鍼灸治療において目指すところは、赤ん坊のように全身ほんのり温かく赤みがありどこにも硬いものがないような状態です。ですから、冷えたり乾燥しているところにはお灸で温め、硬く熱いところには鍼を打ち、とにかく流れをスムーズに循環させるように治療してゆきます。ですから、肩こりや腰痛の治療においても、足先や手先、お腹や頭など全身くまなく触診して治療してゆきます。そこで、ツボというのがありますが、ツボはそれらの変化が現れやすいところに定められています。ですから、全身のツボをくまなく確認しながらしかるべきツボに鍼やお灸をすることで流れを整えてゆくのです。

 

すこし想像してみてください。山のちいさな小川があります。すこし曲がりくねったところや大きな石があるところに枝木や落ち葉がひっかかって、水は流れてはいるもののスムーズではないようなところがあるとしましょう。これを放っておくとどんどん詰りがたまり流れを失うことになりかねません。そこで、ひっかっかっている枝木をちょいっと突いて流してあげると一気に流れがよくなりますが、鍼灸治療はこれとよく似ています。ほんのすこしだけの刺激で一気に流れを変えることができるのです。また、仮に放っておいても時折雨や嵐で洗い流してくれますが、これがまさに自然治癒力と呼ばれる偉大な力です。