先天の精

ヒトが産まれたとき父と母より半分ずつ「精」を授かります。この精を「先天の精」といい生命力そのものです。それは、へそ下の丹田とよばれるところに収められており生涯かけてすこしづつ燃焼させ、尽きるとは死を意味します。だから、できるだけ浪費することなく、炭火のごこく静かに熱く大切に扱うべきものであります。太極拳においては、この丹田にいつも意識をもち充実した状態を保つよう心掛け、全身のエネルギーをここから発し経絡に沿って巡行させるように修練します。自身の内面で起こっていることに意識を持つため、とても繊細にしないとすぐに消えていまいます。だから、ゆっくり動かなければならないのです。また、呼吸とともに丹田に気を送りこむ意識も大切です。鍼灸においては、この丹田の状態をとくに注意します。充実した丹田とは、温かく、触れると柔らかく、押すとなにか奥から跳ね返してくるような抵抗感を感じます。ふわふわしていたり、ひやりと冷気を感じたり、ゴリゴリと硬いものを感じたりするとそれを充実させるように治療します。悲しいかな肉体(骨、筋肉など)は、加齢とともに必ず衰えます。しかし、丹田にある精は、修練しだいでどんどん充実させることができるといわれています。不老長寿の秘訣は、この丹田に秘められているようです。